八丁蜻蛉(ハッチョウトンボ)(雄)の腹部挙上姿勢(オベリスク姿勢)
連日の猛烈な暑さで湿原も干上がり始めている。遠慮容赦なく真夏の太陽が照りつける。 体温調節のできないトンボは、腹部を持ち上げて風に当てて冷やす動作を行う。これを腹部挙上姿勢、またはオベリスク姿勢という。 オベリスクとは古代エジプトで制作された記念碑(モニュメント)のこと。自然地形ではあるが、日本では南アルプス鳳凰三山の地蔵ヶ岳の「尖塔」がオベリスクと呼ばれている。フラフラになって歩いた鳳凰三山はこちら。 閑話休題。 炎天下でこちらも暑さと同居しながら撮影して思うのは、トンボもそんなに暑ければ直射日光を避けて木陰に移動したらいいんじゃないか、ということ。 しかし見るところ、腹部挙上姿勢をとっているのはほとんどが雄。メスの八丁蜻蛉でこの姿勢をとる個体は確認できなかった。 とすると、雄は暑さに耐えながらここに居続けるためにこの姿勢をとっていると考えられる。おそらくは、小さいながらも縄張りをもつ八丁蜻蛉(雄)が、縄張りを守るためにこのような姿勢をとっているのではないか、と。 1日中を気温、風向、湿度、確認できた個体数などを記録するような、継続した観察ができたらいいのだけれど、、、 炎天下で夢想したことだった。 |
雄と違って炎天下を避けて草むらなどに移動する。そのためだろうか、雄に比べて出会うことが少ないように思う。 体長は雄と同じだが、茶褐色の腹部に黄色や黒色の横縞模様がある。 |
ラン科サギソウ属の多年草。ミズトンボ属に分類されることもあるという。 滋賀県では準絶滅危惧(NT)の希少種に指定されている。福井県などでは絶滅して久しい。岐阜県レッドデータブックでは絶滅危惧II類(VU)となっている。開発による湿原の消滅や、人為的な採集が原因。 この夏は猛暑と局地的な豪雨が毎日のように報道されるが、この日も雷鳴が聞こえながらも降雨はなかった。自然環境の変化によって湿原の埋積が進むことも心配される。 |
一瞬トンボソウの蕾かと勘違いしたが、よく見るとサギソウの蕾だった。それはそのはずで、トンボソウなら茎の頂部に1つだけ蕾をつけることはない。 昨年、今年と、コバノトンボソウもキソチドリも見ていない。 いつもの山でいつもの花と出会ってきた1年のサイクルが、コロナウイルスによって歯車がズレたまま。いつまでこんなことが続くのだろうか。 |