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前日甲府まで車を走らせ、甲府駅近くのビジネスホテルで1泊。仮眠もそこそこに、2時半に起き出して3時過ぎに甲府駅へ。今日は日曜日。バスを待つ登山者は5、6人かという読みは大外れ。20人近くが並んでいた。しかも若い人が多い。4時発、甲府交通の広河原行きバスへ乗り込む。夜叉神の森へ着いたのは、5時少し過ぎ。ここへは各地からの路線バスが続々と集まってきていた。5時半にゲートが開くのを待っていたのは、路線バスの他、タクシーや送迎バスなど。若い人はほとんどが広河原まで。夜叉神の森で下りたのは、ほんのわずかだった。みんな北岳だ。 |
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トイレを済ませて、登山道へ。コンターは急だが、綴れ織りに登っていくため、さほどきつくは感じない。しかし樹林帯の登山道は、早くも暑くてたまらない。風一つないから、樹林は暑苦しく迫ってくる。もう終わったかと思った千手岩菲などを見ながら、やがて夜叉神峠へ。峠を稜線に沿って右へ登り返し、しばらくすると夜叉神小屋へ着いた。ツアーの団体さんがたくさん休んでいた。 |
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待っていたのは大展望。左から広河内岳、農鳥岳、間ノ岳、と続き、一番右が北岳。小屋前の樹林が開かれた所には、柳蘭が朝日を受けていた。 |
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大休止の後、樹林帯の登山道をひたすら登る。決して急登ではないが、変化もないもない。贅沢をいうわけではないが、これが結構こたえる。樹林帯であれば万が一の雷でも安心だが、今日は雷雨にはなりそうもない。そうこうしていると、火事跡の開けた所に出た。そこは柳蘭の他、北沢附子や花錨がいっぱい。花錨は8月から9月にかけての花という。もう山は秋の気配だ。萼片の下の距がピンクに染まってなんとも可愛い。 |
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黄花山苧環までがいっぱい咲いているとなると、黙って通り過ぎるのは忍びなし。しかし、今日の予定は薬師岳小屋まで。こんなことをしていたら着けなくなってしまうのは必至。まあ、いいか。南御室小屋でも、明日朝早く出ればいいんだから、と勝手な理屈を付けて登山モードから撮影モードへ。再び長い、長い登りの末、やっと苺平(写真右)へ付いたのが11時半過ぎ。先着の登山者も南御室でいいか、といったモード。みんな暑さと長い道のりにバテバテ。 |
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苺平を過ぎると、辻山を巻いて、樹林帯の長い下り。芹葉塩竃(写真左)などを見ながら、やっと南御室小屋へ。先に南御室でいいかと言っていた先着者が、ボツボツ薬師岳小屋まで行くと出発していくのを見送って、大休止。ここに泊まるという登山者はまだ数名。小屋に聞くと、薬師岳小屋は昨日は80名、今日は60名ほどとか。寝られないのを我慢して、明朝のご来光が容易になる薬師岳小屋まで行くか、それともここで安眠か。結構悩んだ末、やはり予定通り行くことに。南御室小屋から薬師岳小屋(経営者は同じ)へ予約の確認をしてもらって、出発。その前に、水。ここを過ぎると水場はなし。もちろん薬師岳小屋にもなし。次は鳳凰小屋まで持つように、3リットルを満タンにして出発。南御室小屋を過ぎると、急登、また急登の連続。地質的には、南御室小屋のある鞍部を過ぎると、それまでの粘板岩から花崗岩へと変わり、稜線に花崗岩の露頭が見られるように。長い行程の最後にこの登りはつらい。おまけに飲んで軽くなったザックは、再び出発時まで重量が増えている。青息吐息で砂払岳へ。先行する同行者の呼ぶ声に声に、顔を上げると、高嶺ビランジのお出迎え。待っていてくれたんだ、そんな気持で一杯になる。 |
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花崗岩の露岩に咲いているのは、高嶺ビランジの他に深山茴香(写真右)も。 |
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白くザレた花崗岩の中に咲く花は、ひときわ際だって輝いている。まだ蕾がこの花なんて、可愛いという言葉以外見あたらない(写真右)。 |
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よく見ると、所謂白花高嶺ビランジも混在して見られる。ややゆがんだ形に咲くのが、この花の特徴だという。普通、最盛期は9月上旬というから、決して時期が遅いということではないようだ。 |
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どれだけ見ても見飽きないのだが、先発したたくさんの登山者は素通りしたように薬師岳小屋へ向かっていったらしく、誰も訪れない静かな花園だった。北には薬師岳の露岩がそびえていた(写真右)。 |
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砂払岳の花崗岩を、マークを外さないように下り始めると、今度は小葉の小米草(写真左)が何一面に。眼下に薬師岳小屋が見えるのだが、ちっとも着かない。下からはきっと何で寝転がっているのかと、不思議に見えるんだろうな、などと思う。同行者は、この花を撮れて、この山へ来た甲斐があったとまで言い切っている。小屋近くには当薬竜胆(写真右)の群落が。もうここは秋なんだ。 |
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薬師岳小屋はこぢんまりとした小屋だ。夕食はおでん。汁もおいしかったが、ご飯は固かった。水場のない小屋だけに、水は貴重なのだろう。小屋は2階もあるがこの日は1階のみ。布団1枚に2人といった混みようだった。もっとも半分がツアーの団体さんだったから、普通の日曜日はこれほどではいないかもしれない。夜中、寝付けず、ハシゴを登って上のザック置き場で寝た。ほとんど寝られなかった。夜半外へ出てみると、一面のガスだった。明日は本当に晴れるのだろうか。 |