6月の星空 を撮る


- 揖斐谷 -








全天に横たわる夏の天の川

1時を過ぎると街明かりも収まり、山中は静寂に包まれる。ただラジオの音が流れるのみ

頭上には夏の天の川が横たわった
雲に邪魔されることなく、全天に流れる天の川が見られることは梅雨のまっただ中には滅多にないことだ
夏の大三角を中心に置いたが、対角線魚眼レンズを用意しなかったことを後悔する

天の川はわし座を南に過ぎると二手に分かれる。さらにその先のいて座からも分かれる
いて座の向こうには天の川銀河の中心があると考えられている

じっと見上げていると吸い込まれそうになる

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ISO800、f2.0、45秒、14mm、マニュアルWB、LEE SP-31 ソフト №1、Raw
高感度NRはoff、長秒時NRはoff、赤道儀で恒星追尾撮影

SONY α7RM5 + FE 14mm F1.8 GM

2023年6月19日01時19分










夏の大三角を横切る天の川

下の写真とほぼ同じ構図で撮った夏の大三角と天の川。下の写真は広角35mmで撮影しているが、こちらは20mmの超広角レンズで撮影
35mm広角レンズで撮影した方はいるか座まで入れようとすると窮屈で、写真の上を天の北極に向けられなくなり、少し傾いている。こちらの20mm超広角レンズで撮影した写真は写真の長軸が天の北極を指しているから、星野写真としての構図はこちらがふさわしいということになる。もちろんいるか座も余裕で写野に収まる

天の川の右にはこと座の1等星ベガが明るく輝く。ベガは織女星。
ところで地球には歳差運動(首振り運動)がある。そのため今から約12,000年後にはベガがPolarisの位置にやってくる。つまり12,000年後に天の北極を示す北極星はベガということになる。そんな馬鹿なと思ったものだが、天の川を超広角レンズで撮っていると感覚としてそうなんだと納得する自分がいる

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ISO1000、f2.0、30秒×8枚、20mm、マニュアルWB、
SIGHTRONスターエンハンサー
長秒時NRはoff、赤道儀で恒星追尾撮影

SONY α7RM3 + FE 20mm F1.8 G

2023年6月18日23時54分










夏の大三角

雲量0の星空まであとしばらく。雲が横切り抜けるタイミングを見計らって夏の大三角を撮る
満天の星空がやってくる前に少しだけフィルターテスト

使用したフィルターはサイトロンジャパンが発売したスターエンハンサー・フィルター。新潟県胎内市にあるサイトロンジャパン胎内工場で生産されている
スターエンハンサーは光害カットフィルターとソフトフォーカスフィルターの両者を兼ね備える
従来はレンズ前面にソフトフォーカスフィルターをねじ込み、さらにその上に光害カットフィルターを装着することが多かった。2枚重ねの利点はソフトフォーカスフィルターを変えることでソフト効果が変更できる点。しかし2枚重ねとすることで、いくら薄型ローレットを使用していても周辺がケラレる心配がないとは言えない。さらに装着時に落とす恐れもある。また画質の面からも2枚より1枚の方が光の透過特性上の利点は大きい

星景・星野撮影では、よほど光害を無視できる環境以外は、ほとんどの場合で光害を考慮しなければならない。それを考えると星景・星野撮影では実用的と言える。附属のフィルターケースは立派なもので、天体望遠鏡の干渉フィルターかと見間違えるほど
スターエンハンサーのテクニカルデータは公開されていないようだが、使用した限りでは1/4段程度の減光が見られるので撮影時に露光量を補正する必要がありそうだ。肝心な光害カット効果だが、スターエンハンサーを使用しない星野画像と比べてみるとスターエンハンサーを使用して撮影した画像のヒストグラムのピークは鋭く、特にピーク左側が急激に落ちていることから、光害の中での撮影で効果が発揮されていることがうかがえる

さて上の画像はスターエンハンサーを利用して撮影した1枚撮りの画像。加算処理を前提に赤道儀で恒星追尾撮影したが、そのうちの1枚を取り出した。まだ時折雲が流れるのでやむを得まい
α7RM5 であれば高感度NRをoffとしてRawで撮影したいところだ。α7M4 はα7RM5 のような高画素機ではないので画素ピッチに余裕が感じられる
はくちょう座の1等星デネブ付近にある北アメリカ星雲から、夏の天の川で最も色の濃いいて座方面へと続く天の川。わし座の1等星アルタイルに寄り添ういるか座が可愛い

FE 35mm F1.4 GM を1段絞って使用するという贅沢な使い方。このような星野撮影ではいたずらに枚数を重ねて加算(平均)処理するよりも、低感度で露光時間をのばした方がいい結果が得られるようだ

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ISO1000、f2.0、30秒、35mm、マニュアルWB、
SIGHTRONスターエンハンサー
長秒時NRはoff、赤道儀で恒星追尾撮影

SONY α7M4 + FE 35mm F1.4 GM

2023年6月18日23時17分










天の川は夏から秋へと移り変わり

三度目の正直とはよく言ったものだ
一昨夜、昨夜と続けて湿度が高くて何よりも雲が押し寄せた。この夜も予報では23時頃までは雲に覆われるはずだったが、少しずつ雲がとれて気がつけば満天の星が広がった
はくちょう座の1等星デネブ付近の北アメリカ星雲も、赤くその姿を見せている。こんな見事な星空はいつ以来だろうか
梅雨まっただ中の新月期に、満天の星に恵まれただけで自然と笑みがこぼれる。人に見せられたものではないが、山中で一人にやけているわけだから、誰にはばかることがあろうか

この夜はいくつかのレンズとフィルターを交換していろいろテストするうちにあっという間に時間が過ぎた
気がつけば天頂の夏の大三角は少しずつ西へ傾き、東からはカシオペヤ座が姿を見せ始めた。カシオペヤ座の下にはペルセウス座の二重星団hχが顔を出している
8月のペルセウス座流星群はこの付近に放射点がある
この夜のように透明度が高い空だったらいいなぁ

この夜の画像は順次、このページの上部に追加の予定
それにしても FE 14mm F1.8 GM は見事な描写で惚れ惚れする

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ISO800、f2.0、45秒、14mm、マニュアルWB、LEE SP-31 ソフト №1、Raw
長秒時NRはoff、高感度NRはoff、赤道儀で恒星追尾撮影

SONY α7RM5 + FE 14mm F1.8 GM

2023年6月19日0時38分










梅雨の晴れ間の天の川

今年は梅雨入りが早くて、5月8日に開始した金生山ヒメボタル観察はヒメボタル観察期間中に12日が降雨のため観察を断念した。例年多くても7日、少ない年は3日ほどの雨天だったからいかに雨が多かったかがわかる

金生山ヒメボタルが終焉を迎える頃、珍しく梅雨の晴れ間が広がった
まだ夜のはじめだから、街明かりの光害が甚だしい。おまけに湿度が非常に高く、どんどん結露していく
狙いにはほど遠いが、撮れたことに感謝しないと罰が当たるというもの

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ISO800、f2.0、30秒、20mm、マニュアルWB、Raw、赤道儀で恒星追尾撮影
SONY α7RM3 + FE 20mm F1.8 G

2023年6月16日21時35分