5月の星空 を撮る


- 揖斐谷 -









いつものことながらこの時期は体に無理を強いる。フラフラになりながら毎日を過ごしている。雨が降れば休めるのだけれど、降らなければ毎晩帰宅は4時過ぎというか、夜が明けている。ほんのわずかな時間だけ体を横たえてすぐにまた家を出る。もう若くないことは承知の上、不摂生な毎日を送っている

宵の頃車を運転して町へ出ようとすると、雲が切れた西の空に目の覚めるような光景を見た

月齢3.5の月と金星の接近だ

三日月をわずかに過ぎたばかりの月は地球照を伴い、その左には豊かな光量で存在感を見せる宵の明星が輝いていた
よく見ると月と金星はふたご座に侵入している。月と金星のちょうど上に右にカストル、左にポルックスが仲良く並ぶ素晴らしい景色だった
薄明が終わっていないこの時間帯、空には明るさが残っていた。地球照を伴う月と金星は、いつ見ても美しいと思う

問題は強風。まるで台風かと紛うほどの突風に車のドアの開け閉めもままならない。三脚を立てるとかなりの重しをしても転倒しそうなほどだ
諦めて肘をフロントガラスに押しつけて手持ちで撮る

それにしてもどうしてこんなに風が強いのか
春先から初夏は天候が荒れることが多いが、もうそろそろ落ち着いてほしい


----------------------------------------------------

ISO3200、f1.4、1/10秒、85mm、マニュアルWB、Raw、手持ちで撮影
SONY α7M4 + FE 85mm F1.4 GM

2023年5月23日20時16分











月の巡りと天候、そして仕事との兼ね合いが悪くて、たぶんこの日が5月最後の星空

ようやく薄明が終わって夜空が暗くなり始めたところだが、街明かりは強烈。この画像の中央下にも鉄塔に反射した照明がオレンジ色に写っている。あとしばらくすると照明も消えるだろうが、次の仕事に間に合わなくなる。やむを得ず光害カットフィルターでごまかす
快晴という予報だったが、少したなびく雲が写っている

中央から左に目を移すと北極星が見つかる。画像の上部には北斗七星があるが、7つの星のうち5星は写野外
中央左にはこぐま座の2星、コカブとフェルナド。これを和名で「やらいぼし」 という他方がある

北斗の和名は「かじぼし」 だが、カジボシ が ネノホシ(子の星、北極星) を食おうとするのを、ヤライボシが邪魔をして守っている、とされた。ヤライは戦国時代に防御に用いられた たけやらい(竹矢来) などと同じ意だろう

和名は地方によって、伝承者や時代によって変わっていく。やらいぼし も「ヤロボシ」と聞かれたりすると「野郎星」のことかと勘違いすることもあり、「ヤロボシ」が「ヤライボシ」の転化と気づいたのは野尻抱影氏だった
氏はまた ヤライボシ がカシオペヤの「W」と見る地方があることも報じている
関心のある人は野尻抱影『日本星名辞典』(1973年)を手にしてみて欲しい。氏の著作は数多く所蔵しているが、その中でも群を抜く1書で、今の私の座右の書である

右の山際からはベガが高く上り始め、その左には はくちょう座 も出ようとしている
あと2時間粘れれば、と思いながらも次の仕事のため撤収して、往復60㎞近くの道を車を走らせた。毎晩続く深夜の移動、体力的・経済的に限界は近いかもしれない、と思いながらも今夜も車を走らせる

今日は印刷所へ「金生山姫螢」写真教室ガイドブックを入稿した。A4判72ページ。昨年までの観察知見を加えて書き起こした。ガイドブックは写真教室の参加者の分だけ印刷するので、下手をすると自分の分も残らないことになるかもしれない。皆さんの勉強に役立てていただけることを願って今年も制作した

ところで撤収しながら晩ご飯を食べていないことに気づいた。夜の仕事に向かう前にともかく町へ出て、マクドナルドでハンバーガーとコーヒー。しめて390円。節約耐乏生活のため、晩ご飯はこれで終わり。繰り返される値上げ前は200円だったが、食べながら1時間勉強ができることを思うと感謝しなければならない。仕事の合間に勉強する時間は、今の自分にとって一番幸せな時間だろう、とも思う

帰宅すると2時半だった
外気温は8℃で、寒かった
今夜は天気が悪くなりそうなので、ここまでは冷えないだろう


----------------------------------------------------

ISO800、f2.0、40秒、20mm、マニュアルWB、ケンコー PRO1D プロソフトン クリア(W) +
マルミ StarScapeRaw、長秒時NRはon、高感度NRはoff、赤道儀で恒星追尾撮影
SONY α7RM5 + FE20mm F1.8 GM

2023年5月11日21時32分