2023年4月の星空を撮る


- 揖斐谷 -







ヘルクレス座の球状星団 M13

M13はヘルクレス座にある球状星団で、北天最大の球状星団
その美しさは全天一とも言われる

数十万個から成るM13は南中高度が高いときには実に見事な姿を見せてくれる
1714年にエドモンド・ハレーによって発見された。エドモンド・ハレーはハレー彗星にその名を残している

じっと見ていると吸い込まれそうになるほどの透明感に圧倒される


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カメラ SONY α7M3(IR-custom)
鏡 筒  SD81S(リングスペーサーに換装)、SDフラットナーHD+レデューサーHD、625mm×0.79(F7.7→6.1)
赤道儀 SXD2、ノータッチガイド
ISO3200、露出時間 60秒

2023年4月28日02時36分
 











りょうけん座の球状星団 M3

M3はりょうけん座にある大きな球状星団。見かけの等級は6.4で50万個の恒星から成るという
1764年にシャルル・メシエによって発見された
見事な球状星団で、銀河がひしめくこのあたりの星域で球状星団は珍しい。質量は太陽の45万倍で星団の年齢もかなり古い、という

アライメントが終わった屈折式望遠鏡のテストを兼ねて1枚撮影。念のためダークフレームは取得したが、月没から薄明が始まるまでの短い時間ではライトフレームを数枚撮るだけで精一杯だった


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カメラ SONY α7M3(IR-custom)
鏡 筒  SD81S(リングスペーサーに換装)、SDフラットナーHD+レデューサーHD、625mm×0.79(F7.7→6.1)
赤道儀 SXD2、ノータッチガイド
ISO3200、露出時間 61秒


2023年4月28日02時31分












                                         ↑ 下の写真から一部を切り出し


はくちょう座γ星 サドル 周辺の散光星雲


はくちょう座のα星は1等星デネブ。こと座のベガ、わし座のアルタイルとともに夏の大三角を構成することでよく知られている。そこから伸びる北十字の交点にあるのが、はくちょう座のγ星で2等星のサドル
天の川のまっただ中に位置するサドル周辺は散光星雲、暗黒星雲が入り混じってとても美しい
赤い色は肉眼では煮えないが、写真に撮ると赤い星雲が波のようにうねっていることがわかる

サドルは黄色超巨星で、写真の青みがかったデネブと比べるとやや黄色く輝いていることがわかる。黄色超巨星は珍しい
ちなみにサドルが誕生した頃には太陽の10倍以上の質量があったとされる
デネブは西暦10000年の前後数世紀は北極星になると考えられている


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カメラ SONY α7M3(IR-custom)
鏡 筒  SD81S(リングスペーサーに換装)、SDフラットナーHD+レデューサーHD、625mm×0.79(F7.7→6.1)
赤道儀 SXD2、ノータッチガイド
ISO6400、露出時間 1020秒(60秒×17枚)


2023年4月28日02時49分から17分間










薄明直前の天の川

日中に雨が降ったので塵が洗い流され、春としては透明度の高い星空が広がった
23時過ぎから2台体制で撮影準備に入る

月の入りは01時18分だが上弦を過ぎた月は月没後も明るさを残す。おまけに03時32分には天文薄明が始まるので、良好な夜空は実質1時間半ほどしか撮影できないことになる
昨夜までと変わってこの夜は思いのほか湿度が高く、結露も激しかった。最低気温は10度を下回っていたので、相対湿度が高くなったせいだ
この写真は03時11分の撮影。夜が明け始めていることがわかる

これから満月に向かうのでしばらく星空ともお別れだ


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ISO800、f2.0、40秒、14mm、マニュアルWB、LEE SP-31 ソフト №1、Raw、長秒時NRはon、高感度NRはoff、赤道儀で恒星追尾撮影
SONY α7RM5 + FE 14mm F1.8 GM

2023年4月28日03時11分










雲間から姿を見せた天の川

気象予報では2時前後に一瞬だけ雲が切れるらしい。撮らなければ始まらないので、0時近くにダメ元で準備を始める
ところが北極星はもとより、こぐま座δ星も、ケフェウス座51番星も雲に隠れてしまって何一つ見えない。これでは極軸を合わせることもできない。おまけに外気温は5℃と凍えるような寒さ。ただ、空気は乾燥しているので結露の心配はなさそうだ

ラジオを聞きながら、ぼーっと空を見上げ続ける
これは空振りかと諦めかけた頃、雲の切れ間から天の川が姿を見せた
雲は多いが仕方ないかな


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ISO800、f2.0、40秒、14mm、マニュアルWB、LEE SP-31 ソフト №1、Raw、長秒時NRはon、高感度NRはoff、赤道儀で恒星追尾撮影
SONY α7RM5 + FE 14mm F1.8 GM

2023年4月25日02時31分










全天を横切る天の川
春霞と黄砂が入り交じって、特に画像の中央下から右下の透明度が悪い

この写真は加算平均処理を行わない1枚画像で、Camera Raw の強化NRを適用している
長秒時NRがoffなので、ダーク減算はされていない

この先少し撮影方法を試行錯誤していきたいが、問題はAIにノイズと微光星の区別がつくかどうか、だ
何を手抜きしてと、星空にあざ笑われそうな気がしている


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ISO1250、f2.0、30秒、20mm、マニュアルWB、ケンコー PRO1D プロソフトン クリア(W)、Raw、赤道儀で恒星追尾撮影
SONY α7M4 + FE 20mm F1.8 G

2023年4月22日03時01分










2時に雲が切れるという予報を信じて雲に覆われた空を眺めて待つ
北から徐々に雲がとれてきたので、ちょうど北極星が顔を見せ始めた。これなら極軸を合わせられる

雲が多いだけでなく、黄砂も飛来しているので透明度はよくない
しかし、しかし、さそり座と夏の天の川がともかくも撮影できたことに感謝するしかない

今日はSONYのαアカデミー講座。この分なら星空撮影実習もできそうだ
皆さん街明かりの中の星空が撮れるといいなぁ、と思う


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ISO1250、f2.0、30秒×5枚(σクリッピング加算平均)、20mm、マニュアルWB、ケンコー PRO1D プロソフトン クリア(W)、Raw、赤道儀で恒星追尾撮影
SONY α7M4 + FE 20mm F1.8 G

2023年4月22日02時54分










この夜の早い時間帯の1枚
薄雲と霞はいかんともしがたいが、それよりも光害が邪魔をする
主役は春の大三角で脇役はプレセペ星団。見方によっては地味な かみのけ座 が主役とも言える


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ISO800、f2.0、40秒×4枚、14mm、マニュアルWB、LEE SP-31 ソフト №1、Raw、赤道儀で恒星追尾撮影
SONY α7RM5 + FE 14mm F1.8 GM

2023年4月17日22時13分










東天から天頂を見上げる。北斗七星からアルクトゥールスへ伸びる春の大曲線
写真の左端に北極星、写真の中央下の桜の木の間から輝くのがこと座の1等星ベガ。東から南の空はもやがかかって、透明度はよくない

まあ撮れただけよしとしよう


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ISO800、f2.0、40秒×2枚、14mm、マニュアルWB、LEE SP-31 ソフト №1、Raw、赤道儀で恒星追尾撮影
SONY α7RM5 + FE 14mm F1.8 GM

2023年4月17日22時56分










この春は大雨の後に黄砂が飛来したり、夏を思わせる高温かと思えば突然の低温がやってきたりと、落ち着かない天候が続いている。桜が過ぎると星空にも見放されたが、せっかくの新月期。わずかな晴れ間を追い求めることとなった

春の星空はまず春の大三角を見つけたい
目立つ1等星が少ない春の星空だが、まずは北斗七星から春の大曲線を伸ばしてうしかい座のアルクトゥールスを探す(この写真では左上に輝く1等星)。少し赤味を帯びたアルクトゥールスはすぐ見つかる。さらに春の大曲線を伸ばすとおとめ座の1等星スピカが輝く。アルクトゥールススとスピカを1辺とする三角形の右側の頂点にはしし座の2等星デネボラがある。これで春の大三角の完成

しし座の1等星レグルスはししの大鎌と呼ばれる「?」マークの鏡文字のようになった一番下(南)にある。そこからアルクトゥールスへ少し戻ってデネボラを見つけてもよい
冬の大三角や夏の大三角と比べると見つけにくい印象だが、明るい星の少ない春の星空だけに、ぜひ探したい星空の目印

春の大三角が見つかると、そのすぐ上に かみのけ座 と呼ばれる星の集まりがある。星座は明るい星を結んで描かれることが多いが、この星座は少し変わっている。新月期の暗い夜空を眺めるとこの星座も見つかるだろう

画像右端にはかに座が沈もうとしている。暗い夜空であればプレセペ星団も見つけられる。ふたご座は西の山へ姿を隠してしまった。後に残されたかに座を見ながら、春の星座を見送る

そろそろ東には夏の天の川が登場する時刻だが、あいにくと東からは無情の雲が押し寄せてきた
今週末は SONY αアカデミー講座、そして今年初めての流星群 4月こと座流星群
相変わらずお天気に気をもんでいる


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ISO800、f2.0、40秒×5枚、14mm、マニュアルWB、LEE SP-31 ソフト №1、Raw、赤道儀で恒星追尾撮影
SONY α7RM5 + FE 14mm F1.8 GM

2023年4月17日22時23分