αギャラリー

篠田通弘作品展「山岳星景とヒメボタルの世界」
-北アルプス登山20年、ヒメボタル撮影11年-








残暑お見舞い申し上げます。


αギャラリー写真展のご案内を申し上げます。当初は5月に開催が予定されていましたが、コロナウイルスの影響に伴い中止となっていました。

「山岳星景」と「ヒメボタル」はどちらも篠田がテーマとしているものですが、この2つを合わせた展示は今年4月から7月にかけてαアカデミーで6講座予定されていたことから企画されました。講座のPRも兼ねて設定されていたものです。

5月のギャラリーとトークショーが中止となり、今年のヒメボタルの季節も終わり、また今夏は富士山をはじめ南アルプス、北アルプスなど多くの山小屋・テント場が休館・閉鎖されたり、収容人員を極端に減らしたりと、昨年までとは様変わりして登山と撮影もままならないようになってしまいました。
下界は猛暑ですが、高い山では秋山の気配が漂い始める頃です。あっという間に山の季節は終わります。
今回のギャラリー写真展は、時宜を失したものであることをお断りしなければなりません。

再開にあたっては金生山ヒメボタル作品を当初予定のものから一新しました。本年は初夏の40日間の深夜計144時間の観察を実施しました。直近6年間の総観察日数は186日です。

ヒメボタル写真は短時間露光を数十分から1時間以上も繰り返して、そのデータを比較明合成して仕上げる手法が一般的です。背景が真っ暗の場合は、明るいうちに背景を撮影しておいて、後処理としてヒメボタルの発光写真と合成する「合成画像」が作られます。
1枚は短時間露光ですから、ノイズも少ない。そうして画像を重ねれば重ねるほど見事な光跡を描いた絵が出来上がりますが、それは「合成した画像」であって「写真」ではない、とする厳しい指摘もあります。

篠田はこれまで、「○時○分~○時○分まで、○秒露光画像を○枚比較明コンポジット」と明記する方針をとってきました。「金生山姫螢写真教室」やαアカデミー「金生山ヒメボタル撮影講座」でも皆さんにそれをお伝えしてきました。しかし、それでもシャッターのタイミングでは光跡が中断してしまい、ヒメボタルの生態を記録した「真実を写した写真」とは異なることも事実です。
そこで今回の展示では、比較明合成の手法を一切とらない1枚画像のみの「写真」で構成しました。展示写真をご覧になって、比較明大量コンポジットした「画像」と比べて「寂しい」と感じられるかもしれませんが、天然記念物金生山ヒメボタルの緊張感ある命の輝きには心を打たれるものがあります。
をお伝えしたくて、このような展示内容としました。

なお本年まで11年間にわたって金生山ヒメボタル観察を継続してきました。
観察期間中は24時時点の「気温」「湿度」「風」「体感」「月齢」「発生状況」などを細かく記録していますが、今回の展示ではほんの一部しか解説パネルに反映させることはできませんでした。詳細は別の機会を得たいと思います。

ギャラリー写真展は8月29日(土)から9月11日(金)ですが、トークショーはありません。
トークショーでお話しさせていただけない分、パネルによる解説には力を入れたつもりです。

もしお近くにお越しの節はお立ち寄り下さい。なお、私の長時間の会場滞在は認められていませんので、ご挨拶申し上げることができないかもしれません。ご来場の日時が分かるようでしたら、あらかじめ篠田までご連絡をいただけると有難いです。失礼の段、どうかお許し下さい。

これまで長きににわたって観察を続けてこられましたのも、金生山明星輪寺ご住職冨田精運氏をはじめ明星輪寺の皆さん、金生山自然文化苑保存会の皆さんのお力添えによるものです。ここに記して、深く謝意を表します。

厳しい残暑が続きます。
皆さん、どうぞご自愛くださいますように。


●詳しくはこちち