石津御岳(659m)
2003年9月14日
岐阜県南濃町石津御岳登山口より

9月に入ってからの2週間、真夏の暑さに辟易。連日35度に達しようかという岐阜の暑さだったが、ひょっとしたら日本海を北上した台風が秋風をもたらすかとも期待しての山行きである。選んだのは養老山系の南端近くの石津御岳。どうもこの山は夏には向かないようで、炎天下に汗だくの山行きというイメージが強い。この日も岐阜県美濃地方は晴れの予報で、最高気温は32度になるらしい。ならば早朝ならいいだろうと、自宅を6時前に出て6時50分に登山口から登り始める(写真左)。さすが駐車場にはまだ1台も車はない。低山であるからこんなに早くから歩く人はいないのだろう。石津御岳参道の石段を登って1合目にさしかかると、なんと木造の階段がしつらえられている。看板によると、昨年末からこの春先にかけての工事のようで、まだ整備途中らしい。そういえば、去年登ったときに登山道に測量用標識鋲が打ち込まれていた。この登山道は歩きやすく、必要以上の整備はどんなものかと思いながら歩くが、歩幅を考慮してあるらしく、思ったよりも歩きやすい。間伐材の伐採も同時に行われていて、見晴らしが見晴らしもよくなっている。この山の登山道はのっけから急登が続く。しかも普通は風がないことを覚悟しなければならないから、伐採された道は日が照り出すと暑いかもしれない(写真右、6時57分)。それにしてもこの涼しさはどうだ。いつも無風の登山道に秋風が吹き抜けているではないか。
登山道はしばらくすると未整備の従来の登山道と変わり、採掘による崖際を歩くようになる。山肌が無惨な姿をさらしている一帯は、日差しを遮るところもない。しかしそのかわりに展望はすこぶる良い(写真左、7時34分)。遠くは乗鞍岳、御嶽山、恵那山を望み、眼下には木曽三川、右に目をやると、写真には現れていないが伊勢湾を航行する船舶も手に取るようにわかる。幸い北西から流れ込む雲によって、まだ強い日差しは遮られている。なんだか思ったよりも涼しい。ここに設けられているベンチに腰を下ろして、しばしの大休止。それにしても誰も訪れない静かな山である。登山道は樹林帯に尾根に沿って続いていて、北から吹くさわやかな風を楽しみながら登るうちに、いつの間にか三角点に到着(写真右、8時17分)。石津御岳は三角点は山頂ではなく、登山道の途中にあり、季節によっては見過ごしてしまいがちである。しかしこの日は、夏に伐採が行われたらしく容易に見つけることができた。
8時20分、山頂に到着(写真左)。鳥居横にはかつて吹き流しが立てられていて、南宮山山頂からも容易に見分けることができたが、その吹き流しは今はない。山頂の御岳神社前を拝借して、この涼しさを独り占めする。。山頂には秋の気配が漂っていた。そういえば朝飯前だったっけと、パンをほおばる。こんな日は熱いコーヒーもいいかもしれない、などと至福の時を過ごした後、8時54分に山頂を後にした。下山時にはさすがに何組から登山者とすれ違った。早朝とはうってかわって、いつの間にか登山道は真夏の炎天下に変わっていて、登山者の額からは汗が吹き出ていた。下山路途中の大展望で大休止。暑さを我慢して、思う存分の展望を楽しんで9時54分に登山口に着いた。登山口のみかん畑にはマルバルコウソウがいっぱいの花を咲かせていた(写真右)。江戸時代末に帰化したというこの花も、いつの間にか石津御岳山麓のみかん畑を彩る花となっていた。