20131123 夜明けの空にアイソン彗星を捉える−金生山から−
2013年11月23日5時29分、赤道儀使用。
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岐阜県大垣市赤坂町金生山からアイソン彗星を待つ。
日付が変わる頃まで降っていた雨もやんで、快晴。ただし、満月を少し過ぎた月明かりが眩しい。
それと思ったより、地平線近くがぼんやりして、条件はよくない。
強い風が靄を吹き飛ばしてくれるとよかった、などと思いながら機材をセットして待つ。
きっと満員かと思いきや、他には誰もいなかった。
撮影はおろか、見に来ている人もいなかった。
ただ、早朝に明星輪寺へお詣りに来られるいつもの皆さんと挨拶を交わすだけ。
方位はクリノメーターで確認、やがて目印となる水星も地平線から上ってきたけれど、町明かりが邪魔をしてアイソン彗星は肉眼では見えなかった。
失意の中、御来光を撮ってから持参したパンをかじって寝ぼけ眼で戻る。
画像を確認してみると、それでもなんとか写っていた。
ただし、もう1台のカメラに据えた200oレンズは目標を外した。
無念としか言いようがない。
理由はいくつか考えられる。
1)彗星の明るさが予想よりも暗いこと。
2)町明かりが邪魔をして肉眼で確認できるには至らなかったこと。
3)月明かりが邪魔をしたこと。
4)彗星が仰角10度以上に上る頃は空が白んでくる時間帯だったこと。
5)先週末の数日間が天候が悪くて暗いうちの撮影ができなかったこと。
6)その中でも唯一撮れそうな日があったけれど、僕が1時間だけ寝ようと思って寝たのがいけなかったこと。つまり起きられなかった(涙)。
7)僕の撮影シミュレーションが不十分だったこと。
などなど・・・・。
彗星を撮るだけだったら僕は別の所へ向かっただろう。
けれど、僕のフィールドとしている所から撮らなければ意味がない。
結果として、町明かりは予想以上に明るかった、という他はない。
11月29日の太陽近日点通過後、再び大彗星となって戻ってくれることを期待している。
ただ、彗星核が分裂して姿を消してしまうこともある、とか。
オールトの雲を故郷とするアイソン彗星は、非周期彗星。
もう2度と戻ってくることはない、一期一会の彗星。
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3月にバーンスターズ彗星がやってきたその日、僕は父を亡くした。
葬儀を終えて戻る道に、夕陽が輝いていた。
僕は車を止めて西の空を見上げたが、肉眼で見えるはずも無かった。
僕は1枚も撮れずにいた。
2009年ルーリン彗星がやってきた時、僕はかなり長期間にわたってルーリン彗星を追いかけた。
僕がこの彗星にこだわる理由があったからだった。
その理由について、僕は先日のトークイベントで話した。
徳山村と一人の考古学徒としての僕の想いが結節していた。
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Yumingの曲に彗星を歌ったものがいくつかあるが、その1つに「埠頭を渡る風」がある。
僕の好きな曲の1つだ。
青いとばりが 道の果てに続いてる
悲しい夜は 私をとなりに乗せて
街の灯りは遠くなびく ほうき星
何もいわずに 私のそばにいて
一期一会の彗星は僕が思っていたように写ってはくれなかったけれど、僕の心にははっきりと輝いていた。
一期一会だからこそ、自分をごまかさず、偽らずに生きていきたい、と僕は心に誓った。
再チャレンジを誓い、拳を固く握りしめる自分がいる。
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11月29日アイソン彗星は太陽の近日点を通過。その際に彗星核は崩壊し、事実上消滅した。
小さな核が残っているという見方も出されているが、少なくとも近日点通過後に期待された大彗星として出現することはなくなったらしい。
アイソン彗星、、、文字通り一期一会の彗星となった。
アイソン彗星に関しては再チャレンジはならないかもしれないけれど、僕の生はまだしばらくは終わらない。
「人生死ぬまで本番」というのは僕が師と仰いだ一人故高橋俊示先生の言葉。今その言葉をかみしめている。
自分に素直に、自分の心を偽らず生きて生きたい。
(11月30日追記)