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岐阜県揖斐郡揖斐川町(旧藤橋村)東横山の山塊にに亀裂が入っていることが報告されたのは、4月終わりのことだった。場所は揖斐川町東横山字下山の揖斐川左岸に突き出す尾根で、両端を椿井谷(ツバイダニ)と桂谷(カツラダニ)に挟まれている。亀裂が入った地点は、小津権現山(1157.8m)から西へ派生する尾根上の、通称「八丁のシン(ハッチョウノシン)」と呼ばれる標高995mのピークより、南に分岐する尾根に位置する。岐阜県森林組合の5000分の1地形図によると、亀裂部分の標高は約280〜300mの地点である。この部分は等高線の間隔が、その上下に比べてやや広くなる部分である。牛丸周太郎・梶田澄雄「揖斐川上流域学術調査報告(地質)」(『揖斐川上流域総合学術調査報告書』1963年所収)の地質図によると、粘板岩と輝緑凝灰岩(緑色岩)となっている。写真左は、4月30日撮影の亀裂と崩落の状況。ビニルシートが貼られている。 |
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5月12日20時09分撮影。20時00分丁度に崩壊が始まり、擁壁中央部分が崩落。旧国道(現町道)で土砂は止まっている。その後小康状態を保っているように思われるが、投光器の右奥の桂谷方面へ落石があるらしく、音だけが時折響く。 |
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20時46分撮影。崩壊した擁壁部分の上部に亀裂が入り、そこから少量の土砂崩落が断続的に続く。 |
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21時19分撮影。上部の亀裂は2本。擁壁崩壊部分からは断続的な土砂崩落。擁壁残存部分のうち、右側は岩盤から遊離している。投光器による照明部分の右奥の桂谷へは、ひっきりなしに岩石の転落の音や、樹木がなぎ倒される音がする。 |
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22時18分撮影。擁壁崩落部分の滋養部の亀裂はさらに大きくなり、音を立てて土砂が崩落を始める。この頃より、右奥の桂谷への土砂崩落の音の他に、左側擁壁のさらに左方の樹林帯へ落下する岩石の音が大きくなる。この写真には出ていないが、ビニルシート部分より一直線に崩落土砂が通過するファネルが出来ていることがわかる。 |
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22時19分撮影。右の擁壁残存部分の上を、土砂が流れるように落ち始める。初め桂谷方面だけに聞こえていた土砂や樹木が落下する音は、今は尾根全体から聞こえる。 |
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22時34分、尾根右側が桂谷に向かって大きく崩壊を始める。樹木が次々となぎ倒される。 |
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22時35分、尾根右側に続いて、擁壁崩落部分上部に当たる、尾根中央から崩落が始まる。樹木が音を立てて落下する。 |
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22時36分02秒。尾根中央の崩落が激しくなる。土煙が、揖斐川を挟んだ撮影地点の右岸まで押し寄せる。尾根右側の桂谷への崩落が激しさを増す。 |
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22時36分26秒。尾根全体が鳴動し、中央部分が大きく崩落をし始める。 |
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22時36分28秒。崩落は尾根左側でも始まる。旧国道を崩落土砂がたたきつける。 |
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22時36分45秒。尾根全体の鳴動が激しくなる。全体をとらえるため、レンズをワイド側へ切り替える。尾根全体で樹木が倒れ初め、崩落が一気に始まる。 |
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22時36分58秒。崩落はさらに激しくなり、土砂は旧国道を埋積しながら揖斐川へ勢いよく落下を始める。 |
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22時37分06秒。尾根の大崩壊始まる。土砂は旧国道を乗り越えて揖斐川へ次々と崩落。水しぶきが上がる。 |
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22時37分08秒。尾根の大崩壊、さらに激しくなる。 |
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22時37分12秒。尾根全体が一気に崩落し、旧国道は完全に姿を消す。土砂は一直線に揖斐川へ。 |
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22時37分17秒。旧国道、姿を消す。大崩壊続く。 |
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22時37分22秒。尾根上部の崩壊は一段落し、崩壊下部の土砂が揖斐川へ落下する。 |
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22時37分32秒。崩落は次第に小康状態となる。土煙と水しぶきが続く。 |
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22時39分44秒。土砂崩落は小康状態。旧国道は姿を消す。この後も尾根全体からの落石や倒木の音、小規模な土砂の崩落が続く。尾根左側のファネルはまだ残り、そこを通過する音と思われる落石音が続く。尾根全体から落石の音や倒木の音が続くが、降雨のため、観測を中止する。 |
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5月13日17時の状況。上の画像と比較して、尾根左側の崩落はこの日の8時に起きたもの。右側の桂谷方面の崩落は、ページトップの積層図の右側の崩落推定矢印ほどには進んでいないように思われるが、町道が立ち入り禁止のため詳しい観察が出来ない。崩落の最上部はブルーシートまで到達している。上の画像との位置関係は、手前の杉の木のシルエットで判断できる。降雨が続き、小規模な土石流が繰り返し発生している。 |
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5月14日8時15分の状況。昨日の17時の段階と大きな変化は見られない。 |
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5月14日8時15分の状況。崩落末端が揖斐川に到達し、河川幅の3分の1に達している。 |