2006年3月5日
長野県北安曇郡白馬村落倉より
レリーフの等高線は20m。スケールの単位はm。往路は実線、復路は破線。
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この冬最後の栂池でのスキーを昨日終え、今日はスノーシュー・ハイク。本当ならば昨日から栂池ロープウエイの運行が始まっているはずなのに、来てみると雪の多さから1週間延期されたとか。ならば、小谷村栂池に隣り合う白馬村落倉高原へと、宿泊先のホテル・ベルハートさんを出発した。落倉はこの冬に初めてコース整備されたという、落倉高原バックカントリーフィールドだ。整備されたといっても、指導標や赤布が最低限に設けられただけの、自然を大切にしたフィールドとなっている。ここはヤマケイJoyの冬号に紹介されていたが、まだまだ訪れる人は少ないらしい。昨日、スキー後に下見に訪れた際に入手したパンフレットによると、初心者体験コースを除くと4コースあるという。その中で、後立山連峰を望むことの出来る「浅間山かもしかコース」へと向かうことにする。同行者はいつもの2人に金沢のMiyauraさんを加えた3名。Miyauraさんの娘さん一家4名は、昨日に引き続き栂池高原でスキー。春のポカポカ陽気を予感させる中、8時54分出発。車はバックカントリーフィールド・インフォメーションセンター横に駐車。しばらく道路を歩いてから、2m以上あろうかという雪の壁をよじ登った所でスノーシューを装着。スノーシューは予約の上、内川スポーツさんでレンタル。三者三様のスノーシューをレンタルした。昨日に続いて、朝から快晴。背後にはため息が出る程、美しい後立山連峰。これ以上の贅沢があるだろうか。9時12分、スノーシューをつけて出発。 | |
赤テープを目印に、雪原ハイク。なんて快適なんだろう、とスノーシューに感嘆。厳冬期は既に過ぎて、3月ともなれば雪はしまっている。長靴トレッキングでも問題なさそうだが、数日前に積もった新雪では、やはりスノーシューが威力を発揮する。カンジキと違って、プレートがついているため、雪上に浮くといった感じだ。アイゼンの代用とはならないものの、クランポンという爪もついていて、少々のアイスバーンでも滑りにくくなっている。写真左はスノーシュー・トレイルと白馬三山。ゲレンデからは見慣れた山々だが、樹間からの眺めはまた格別だ。左から白馬鑓ガ岳、杓子岳、そして白馬岳。これならルンルン気分と、軽やかに歩いていくと、除雪された林道の終点に出た。車が1台とまっていて、フィールドのガイドさんがハイカーを案内して、スノーシューを装着しようとしていた所だった。立ち止まってよく見ると、数人が通ったと見られるトレイルが、一直線に稜線に向かって延びていた。赤テープもあることだから大丈夫だろうと、トレイルをたどって斜面登り。ところが、徐々に傾斜はきつくなり、やがてとんでもない急登へと変わっていった。スノーシューは雪原では快適なのだが、これだけ傾斜があるとなんともやっかいだ。なんといっても、キックステップで蹴りこむことは出来ず、結局はクランポンが効く位置で雪面をとらえるしかない。カンジキ+12本爪アイゼンならば、ガシガシと雪面をつかんでいくのに、と。全身から汗が噴き出て、暑いの何の。写真右は、急登を登る同行者。実際は写真で見るよりもずっと斜度がある。 | |
山腹の緩斜面で小休止(10時10分、写真左)。見上げると稜線まであとわずかだ。再びの急登の末、稜線へ。ここまでくれば稜線漫歩。しばらく北へ歩くと、雪に埋もれた浅間神社の鳥居に出た(写真右)。ここから山頂までもう一急登。本来、綴れ織りに登った方が楽なことはわかっていても、ついつい直登コースをとってしまう。雪もゆるんでいて、アイゼンが必要な程でもないので、まあいいか。 | |
10時10分、山頂に到着。山頂はフラットで、広いスペースがあった。まだ時間が早いのか、誰もいない山頂だ。ここで湯を沸かして、大休止を決め込む。写真右は管理人が使用したスノーシュー。樹林の向こうは栂池高原スキー場。やがて2人連れのスノーシュー・ハイカーが登ってきた。このルートは眺望が素晴らしいため、メインコースになっているのかも知れない。 | |
栂池高原スキー場を樹林の中から見下ろすと、新鮮に感じられる(写真左)。ゆっくり休憩した後に、10時50分山頂を後にする。すると行きに出会った、ガイドさんに案内されたハイカーが登ってくるところだった。鳥居まで急坂を下ったが、スノーシューは後ろが長いため、登り以上にやっかいだった。これぐらい急坂になると、スノーシューを横にして下るのが正解だった。稜線を歩いて牧寄スキー場跡を経由して下山するつもりだったが、途中でトレイルは消えていた。先行者も引き返したようなので、ここはあっさりと断念。指導標に従って、下山。すると、稜線を少し下った所で、雪原と化した林道へ出た。たくさんのスノーシューとクロスカントリースキーのトレイルを見て、これがメインのルートであることを知った。夏場は林道であっても、今は一面の雪原だ。これならば、スノーシューだけでなく、クロスカントリースキーが利用されていても不思議ではない。 | |
写真左は切り開きから見た後立山連峰。左から五竜岳、八方尾根を挟んで唐松岳、不帰ノ險、そして天狗の大下りと続いている。少しずつ雲が出始めたものの、頂を覆い隠すような低い雲ではなく、北ほど抜けるような青空が広がっていた(写真右)。 | |
林道の除雪地点から往路たどった雪原に戻り、沼の北を迂回するコースをとる。砂防堰堤が作った沼は、美しい自然の造形だ(写真左)。12時18分、出発地点へ戻った。昼食をとろうと、今度は道路の反対側にある風切地蔵へよじ登り、そこで湯を沸かす。大展望の余韻に浸ったひとときに、こうして大満足のうちにスノーシュー初体験は終わったのだった。 ※レンタルしたスノーシューは、3種類。1つはプラスチックで出来ていて、大変軽いものだ。これで大丈夫なのかと思ったが、問題はないらしい。ただし、瓢形になっているため、両足を揃えた姿勢はとりにくい。半歩ずらすと収まりがいいものだ。圧痕はプラスチックの支えが交差するものとなる。もう一つは、前に比べて後ろがかなり長いタイプで、雪原を歩くときには後ろを引きずるような形となる。雪原では雪に浮く感じで快適だが、傾斜の登下降、とりわけ急坂の下りにはむかない。気をつけないと、クランポンが雪をかむ前に、スノーシューの後ろの部分で滑ってしまう。もう一つはこの中間のもので、形状は輪カンジキを前後にのばしてプレートを張ったような感じだ。もし買うとしたら、これかな。スノーシューは初体験だったが、稜線への直登をしたりと、いろいろ試すことができたのも楽しかった。 ※今回はスキーウエアにスキーのストックを流用したが、3月で日差しが温かともなればアンダーウエアは、軽めのものでもいい。今回は時折吹く風が心地よいぐらいだった。初めてのスノーシューは大満足で、これはやみつきになるかもしれない。しかし同時に、カンジキと比較した時の長所と短所もそれなりに分かって、スノーシューが活躍するような雪原を探さねば、とも思った次第。 ※ところで、山頂で出会った2人連れのハイカーから、「昨日は栂池ゴンドラの終点から自然園までスノーシューで歩いていった」との話を聞いた。そういう手もあったのか、と目から鱗だったが、展望湿原まで行こうとすると時間不足だ。やはりロープウエイの運行が始まってからのお楽しみにとっておくことにしよう。 ※初めてご一緒したMiyauraさん、お疲れ様でした。とても楽しかったです。またぜひご一緒できる日を楽しみにしています。 |