塔ノ倉(715.7m)
2004年3月28日
滋賀県坂田郡米原町榑ヶ畑より


レリーフの等高線は20m。スケールの単位はm。
今年に入ってから、最近余り行かなくなった山へ足を運び始めた。その第3弾は霊仙山。調べてみるとこの前登ったのが1999年だから、これまた5年ぶりとなる。これまで榑ヶ畑からお虎ヶ池、経塚山を経由して登ったり、上丹生から屏風岩、漆ヶ滝をを経由して登ったりしたが、特に前者はグチャグチャドロドロの洗濯登山必死のコース。それがこの山から遠ざかっている理由だったりもしているので、今回は榑ヶ畑から汗ふき峠を越して今畑へ出て、西南尾根に取り付こうという考え。おまけに霊仙山三角点から鞍部に下りて、経塚山を経由せずに谷筋の雪渓を歩いてお虎ヶ池まで出てしまおうという虫の良い考えである。自宅を5時30分に出発。醒ヶ井養鱒場から林道終点まで車を走らせる。すでに数台駐車してある。登山口には立派な標柱や案内板、それに休憩舎まで立っている。5年の歳月を感じる。休憩舎出発が7時05分。ここからカナヤまでの道は昔のままだった。カナヤではジュース・ビールの無人販売が今も健在だ(7時14分、写真右)。帰りにお世話になろう。
汗ふき峠に着いたのが7時21分(写真左)。ここまで誰とも出会わない。こんなに静かな山であるはずがない。おまけに今日は快晴。きっと満員なんだろうと考えながら、峠を越して今畑へ峠道を下る(写真右)。山腹を巻く道は狭くて、所々崩落しかかっている。注意しながら歩くと谷底から谷の音が聞こえ始める。大洞谷へ下りると、あとは谷を1度越すだけでやるやかな道が続く。驚いたことに落合方面から汗ふき峠へと歩いてくるグループに出会った。榑ヶ畑へ来るまで行くよりも、落合まで来るまで来た方が早いということなのだろう。
7時48分、落合集落に出る(写真左)。ここから舗装された道を谷沿いに少し下ると廃村となった今畑集落を経由する登山口の標識がある(7時56分、写真右)。表意記は小さいが何台も車が路駐状態で、見落とすことはない。
急勾配の登山道は廃村の今畑集落へ続き、そこを過ぎたあたりで先行する団体さんを追い越す。あたりには花の盛りを過ぎたフクジュソウが少しばかり咲いていてお出迎え。ミスミソウもあちこちに咲いている。今日は花との出会いが期待できそうだ。笹峠に到着したのが8時34分(写真右)。笹峠は文字通り笹だらけで、本来の峠がどこかもよくわからない。登山道をはずれてなだらかな尾根を笹こぎしながら少し歩いてみると、笹峠の小さな標識があった。落合へ続く谷筋の本来の峠道も残っている。
笹こぎをしながら南を遠望する。鍋尻山とその向こうには藤原岳を筆頭に鈴鹿の山並みが目に飛び込んでくる。笹こぎは体力を消耗するので、登山道に戻り、いよいよ西南尾根へ向かう。尾根と言うよりは山腹を一直線に無理矢理登る、とんでもない登山道らしきものが見える(8時49分、写真右)。
西南尾根はしんどいの一言。写真でさほどでもないように見えるが、これがとんでもない急登。ここから標高差にして約250mはおそろしくしんどい。今年初めての本格的な急登となった。今年に入って結構歩いているつもりだが、西南尾根はそう簡単には登らせてはくれない。喘ぎながら近江展望台に到着(9時32分、写真右)。ここからの眺望は右に琵琶湖、正面に鈴鹿の山並み、左に伊勢平野ということなし。好天に感謝。しかし暑い。この暑さはまるで5月の気候。
近江展望台で今日初めての大休止の後、石灰岩の固まりが続く不安定な尾根を霊仙山最高点に向かって歩く。登山道としては全く整備されていないため、ガスがかかったりするとかなり危険な道である。しかし手が加わっていない分、自然のままであるともいえる。足下に注意しながら進むと、今日初めての満開のフクジュソウに出会う(写真左)。盃を上に向けたような花びらは、太陽の光を受けて黄金色に輝いている。ここから山頂まではフクジュソウ、またフクジュソウ(写真右)。昨日、今日が一番の花盛りなのだろう。次から次へと現れる花の写真を撮っていると、なかなか前へ進めない。
10時41分、霊仙山最高峰へ到着。そこには文字通り360度の大パノラマが広がっていた(写真左)。ここで昼食。湯を沸かそうかとも思ったが、暑いからやめ。冷やして持ってきたビアテイストドリンクなるものを飲むが、これはおいしくない。まあ、気分だけで我慢。昼食後、360度の連続写真を撮ってから、三角点峰へと出発する。結構雪が残っていて、その上を歩きながら山頂に到着(11時26分、写真右)そこではたくさんの人が展望を楽しんでいた。。
11時34分に三角点を出発。出発前に伊吹山を撮る(写真左)。その右は能郷白山。まだ白い。遠くは御嶽山、乗鞍岳、北アルプスも遠望できた。さて経塚山へ続く鞍部へ下りたってから、谷筋沿いの雪渓を歩いてお虎ヶ池へ行くことにする。笹は雪渓の下で、これは快適快適、と思ったら、最後の最後で背丈ほどもある笹藪をこいで登山道へ登り返すはめになった。これはかなわんと、かきわけて登山道へ出ると、お虎ヶ池から経塚山へ行こうとしている登山者が藪から出てきた私に驚いて、どこから来たのかと聞く。てっきりあの足跡かと思ったという方を振り返ると、山頂からまっすぐに雪渓を下る2組の足跡があった。お虎ヶ池が12時10分(写真右)。展望台で小休止してから下山。汗ふき峠に着いたのが13時02分で、カナヤに下り立ったのが13時08分だった。冷たいペットボトルの代金を竹筒に入れて、一気飲み。カナヤのご主人と最近の山の様子などを聞かせていただいて、休憩舎に着いたのは13時24分だった。
*今回の霊仙山は、西南尾根を経由した周回登山となり、休憩時間も含めた総時間は6時間あまりの長丁場となった。ずっと長い間倒壊したままとなっていた、経塚山北の避難小屋が修復されていたり、榑ヶ畑に休憩舎ができていたりしていたが、霊仙山は依然と変わりなく迎え入れてくれた。汗ふき峠からお虎ヶ池への一般的なコースには各所にロープがかかっていて、雨降り後などのぬかるみへの配慮がなされていたり、道標が各所に新設されていたりと、初心者へも十分な配慮がなされているが、西南尾根はまた別世界であった。カナヤご主人によると最近はどこから聞きつけてきたのか、西南尾根を歩く人が増えてきたという。「最近はマナーもよくなってきた」とはご主人の話だが、最高峰での昼食後にいつものようにゴミを拾ったが、ゴミは思ったより少なかった。私たちが山へ入らせてもらうとのだ、いう気持ちをいつもでも持ち続けたいと改めて思った次第である。