フォクトレンダー NOKTON 21mm F1.4 Aspherical
夏の天の川を撮る

-2019年7月 揖斐谷-






ホタルと天の川


夜が更けるまでは町明かりの光害が甚だしい。
しばらく我慢しながら、赤道儀の極軸を合わせてピントリングを固定していると、頭上を明るい光が横切った。
何だ、火球か?と見回すとゲンジボタルが光跡を残しながら高く飛んだ。
揖斐谷ではまだホタルの季節が続いているのだ。

ISO1600、f2、15秒、長秒時ノイズリダクションoff、高感度ノイズリダクションoff、PRO1Dプロソフトン(A)、赤道儀使用。
α7M3+NOKTON 21mm F1.4 Aspherical。
後処理としてダーク減算。







天頂に横たわる夏の大三角


7月初旬は天頂に夏の天の川が横たわる季節だ。
新暦の七夕が近いが、梅雨末期にさしかかる頃だけに星空を見る機会も滅多にない。
5月中旬から6月下旬まで約40日間は金生山ヒメボタル観察・撮影に入っているため、本当に久しぶりの星空だった。
時間がまだ早いので町明かりが邪魔をする、右下から薄雲が時折流れる、など条件はあまりよくない。
いつまで撮れるかわからないので、取り急ぎ天頂の天の川を撮る。

ISO800、f2、30秒、長秒時ノイズリダクションoff、高感度ノイズリダクションoff、PRO1Dプロソフトン(A)、赤道儀使用。
α7M3+NOKTON 21mm F1.4 Aspherical。
5枚画像をダーク減算、加算平均コンポジット処理。






夏の天の川


23時近くなるとようやく町明かりも少なくなり、星が天頂を覆い尽くす。
自分の目も暗順応によって暗い星まで見えるようになってくるから不思議だ。
モニターは明るすぎるので、例によって黒い布で塞いで光りがもれないようにしておく。

今回使用したレンズは、超広角レンズにも関わらず「NOKTON」の名を冠した開放F値1.4の明るさをもつ大口径レンズ。
その描写は見事の一言に尽きる。これでもか、というぐらい満天の星空を見事に写しとっている。

f1.4とf2でテスト撮影したが、開放ではPhotoshopのCameraRaw補正データが未対応のため周辺減光はさすがに大きい。
だが、f2まで1段絞ることでほとんど解決する。
また星野撮影で問題となる周辺部のサジタルコマ収差だが、明るい星が四隅にある場合はやや目立つが、これも1段絞ることで許容範囲に収まる。
1段絞ってもf2であるから、贅沢な使い方ができるレンズだ。

ISO800、f2、30秒、長秒時ノイズリダクションoff、高感度ノイズリダクションoff、赤道儀使用。
α7M3+NOKTON 21mm F1.4 Aspherical。
9枚画像をダーク減算、加算平均コンポジット処理。





昨今、星景撮影・星野追尾撮影で使いたい広角・超広角Eマウントレンズが、SONY純正を始めとして数多く発表されるようになってきた。これはαのEマウントで星空を撮る者にとっては、選択肢が増えるということと、切磋琢磨によってよりよいレンズが期待できるということであり、大変喜ばしいことだと思う。今後の動向に注目したい。 

                                              (20190707 篠田通弘)