20170929 オリオン座の三つ星とM42とリゲル


 三つ星

 野尻抱影氏は『新星座巡禮』(1957年)で、オリオン座が巨人の姿を空想したギリシア神話のような「天上に活躍する勇者」を日本の歴史の中では描かれなかったことを遺憾としながらも、次のように記している。

 この3つの二等星は上から学名δ・ε・ζで、固有名はミンタカ(革帯)もアルニラム(真珠の紐)、アルニター(真珠の帯)、何れももとはこの一列の総称であった・・・(中略)・・・
 しかし日本でも、三つ星は、北斗七星、すばる星と共に農村・漁村の人たちに深く親しまれていて、前にも述べたように、いろいろな方言で呼ばれて来ました。三つ星の他に、例えば東京から東北にかけては「三じょうさま」「三大しょう」、長さで言う名では千葉・茨城の「尺五星」「算木星」、青森の「竹の節」、中国・四国の「かせ星」。またものを担ぐ形と見た「稲荷(いねにな)い」「粟荷い」、時には「親荷い」などの名もあり、最も広く行われているのは、三つ星とその近くの星々を結んだ見方による「からすき星」「酒枡(さかます)星」です
(野尻抱影「三つ星」『新星座巡禮』1957年)。

 氏は「巨人の姿を空想するような奔放さはなくとも」「純真素朴」な日本独自の星の名を数多く伝えていることは「誇ってもいいこと」と述べている。

 同書に収録された「星は周る」の中の最後の言葉を次に掲げる。

 三つ星よ、シリウスよ、讃えられてあれ!