201311 雨上がりの風景−揖斐谷−


小雨の残る朝、傘を差して近所を歩く。
冬を思わせる冷たい雨。
村を流れる川を見下ろすと、雨に濡れて燃えるような紅葉。
心が洗われる、という言葉がある。
こんなことをいうのかな。

辛いことがあった。
どうしようもないことを前に、たじろぎそうになる僕がいる。
そんな僕の背中を押してくれる雨上がりの風景。
こんな時は、山に暮らしていてよかったと思う。

昔の歌が急に思い出されることがある。
いま頭の中をぐるぐる駆け巡っているのは、伊勢正三の「君と歩いた青春」。
青春なんて、自分にあったことすら忘れていたこの何十年か。
それがふいに思い出されてしまうのだから、困っている。

伊勢正三の詩には心がうたれる。
「22才の別れ」が最大のヒット曲かもしれないが、僕は「ささやかなこの人生」が一番だ。
それと同じぐらい好きな曲がこの「君と歩いた青春」。
最後に次のフレーズがある。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
君はなぜ
   男に生まれてこなかったのか
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

いつもこの部分を聞くと、涙が出そうになる。

伊勢正三のオリジナルもいいが、太田裕美もいい。
若い人でまだ聞いたことがなければ、YouTubeを探してみるといい。
この詩の世界を、若い人はどう思うのだろうか。


歳を重ねても、いつまでも大人になりきれない弱い自分がいる。