夏の忘れ物2

この花を見るとNさんのことを思い出す。

Nさんは僕が寺屋敷遺跡の発掘調査を担当した時、作業員さんとして調査に加わってくれた。
体の弱かった彼はいつも体を気遣っていて、昼の休憩になると薬草を探しに谷に入っていた。
磯谷(いそんだに)の雫が落ちる岩場には岩煙草がたくさん咲いていた。
暑い夏の日だった。

Nさんはすでに他界し、水没した寺屋敷遺跡も、今は訪れることは叶わない。