瑞牆山(2230m)
2005年9月17日
山梨県北杜市(旧須玉町)瑞牆山荘より


レリーフの等高線は20m。スケールの単位はm。

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今日は奥秩父の山、瑞牆山(みずがきやま)。深田久弥の百名山でもある。自宅を4時半に出て、羽島ICから高速を走らせて中央道須玉ICまで。高速を下りて一般道を右に折れて4つ目の信号を右折し一路増富ラジウム鉱泉へと車を走らせる。増富ラジウム温泉への道が分かるだろうかと心配したが、大きな看板に「4つ目の信号を右折」と出ているので、間違わない。みずがき湖を過ぎて増富ラジウム鉱泉からさらに舗装路を走らせて瑞牆山荘に着いたのが9時30分だった。少し奥に100台駐車できるという立派な無料駐車場があり、びっくり(写真左)。こんな立派な駐車場があるのに、少しでも楽がいいのか、たくさんの車が路駐していた。観光バスやマイクロバスもやって来ていて、ここを訪れる人の多さに驚く。写真右は瑞牆山荘。宿泊もできる。
登山道は瑞牆山荘の目の前にあり、まだ夏真っ盛りといった感じの樹林帯の中を歩き始める(9時57分、写真左)。登山道は歩きやすいが、ローム質の土壌のため雨上がりなどは滑りやすいかも知れない。一般車両は通行できない林道に出ると丸太階段の急登が始まる。(10時16分、写真右)。
樹林帯越しに瑞牆山が姿を見せ始める(写真左)。やがて傾斜がなだらかになると、富士見平小屋に着いた(10時42分、写真右)。小屋近くはテン場となっている。
小休止の後、山腹を巻くようにつけられた登山道を進む(10時51分、写真左)。樹林帯の道だけに、新緑や紅葉の季節は歩くだけで楽しくなるに違いない。登山道は礫が敷き詰められたような道に代わり、樹林の間から瑞牆山の岩頂が見える(11時08分、写真右)。深田久弥は瑞牆山を「この山は岩峰の集合体とでもいうべきか。岩峰群を持った山は他にもあるが、瑞牆山のユニークな点は、その岩峰が樹林帯と混合しているところである。まるで針葉樹の大森林から、ニョキニョキと岩が生えているような趣である。」(深田久弥『日本百名山』)と表現している。こんな岩峰をどうやって登るというのかと思ってしまうほどである。
巻き道は急傾斜で天鳥川へ下り、ここから直登が始まる(11時17分、写真左)。ここは帰路に登り返しとなる所で、結構しんどいかも知れない。写真右は天鳥川を徒渉して少し登った所の、花崗岩の巨岩が真っ二つに割れた「桃太郎岩」。登山者が次々と支えていくのだろう、「つっかい棒」には笑ってしまう。ここではケルンの代わりにつっかい棒を岩へ差し入れるのが常なのだろう。
立派な木製の階段を登り、ロープにつかまったりしながら花崗岩の礫が露頭する急登を一直線に登る。無風の暑い山だったが、ナナカマドはもう赤い実をつけ、紅葉し始めていた(写真左)。なおも急坂を登ると、頭の上に大ヤスリ岩が見え始めた(12時10分、写真右)。
直下から見上げた大ヤスリ岩は迫力満点(12時20分、写真左)。やがて山頂左の稜線から北側へと山頂を巻いて付けられた登山道を進む。山頂直下の岩場をハシゴとロープを頼りに一気に登る。神戸から来たという40名の団体の下山とすれ違ったが、幸い10名ずつの小グループに分かれていたので、道を譲ってもらう。樹林が突然開けたかと思うと、そこが山頂だった(12時53分、写真右)。山頂は岩峰の頂部で花崗岩は優しく広い岩肌を見せていた。秋の一日だったら、ここでの昼寝は最高のひとときとなることだろう。
写真左は山頂から望む八ヶ岳。見慣れた八ヶ岳の山容と見る方向が違って新鮮。あいにくと北アルプスと南アルプスは雲で覆われていて、裾野を望むだけだった。写真右は大ヤスリ岩。
写真左は金峰山。これも深田久弥の百名山である。富士見平小屋か大日小屋まで歩いて泊まることを考えれば、歩くことのできない山ではない。写真右は山並み越しに望む富士山。
山頂の岩峰は大きく広い(写真左)。これなら先の40名の団体でも十分だったろう。この岩盤にへばりついて、あたかも岩によじ登っているようなポーズをとって写真を撮っていた若者には笑ってしまった。写真右は方位盤。写真は掲げていないが、浅間山も指呼の距離にある。
13時55分、山頂を出発。往路を戻った。写真左は行きにも望んだ瑞牆山山頂。午後の光で岩肌の感じがまた違って見える(15時13分、写真左)。富士見平小屋に着いたのが15時35分。
富士見平小屋から一直線に下って、瑞牆山荘に着いたのが16時03分だった。帰りの車があるのでビールというわけにはいかず、山荘のレストランでクリームソーダで乾杯。全身汗だらけの身に冷たさと甘さがしみこんでいった。
※最初は前日に瑞牆山荘に宿泊してとも計画した山行だったが、早朝に岐阜を発ち日帰り山行へと変更した。しかし、登山の時間よりドライブの方がはるかに長かった。瑞牆山はアクセスが良く、比較的短時間で登ることのできる山でもあるため、人気が高い山だ。そのためだろうか、2人連れの登山者のうち1人が空身という人を何組か見かけた。多くの人が軽装だった。累積標高750mの道は取り立てて危険な所はなく、変化にも富んでいる。今日は暑くてたまらなかったが、シャクナゲが咲く新緑の頃や紅葉の季節は、また印象が違うことだろう。ちなみに瑞牆山は秩父多摩甲斐国立公園の西端にあたる。1950年に秩父多摩国立公園に指定され、現在の名称に変更されている。指定範囲は埼玉県、東京都、山梨県、それにわずかばかり長野県も含まれているが、山梨県が最も広い面積を有する。瑞牆山はこの西端となるため、奥秩父の山といった印象が強い。そのため駐車場の車のナンバーはほとんどが関東のものだった。もし近くに住んでいれば、頻繁に訪れる山かもしれない。機会があれば、別の季節にも歩いてみたい。右の写真は帰路の途中、みずがき湖湖畔のビジターセンターから見た瑞牆山。
※瑞牆山から八ヶ岳方面を見た画像にカシミールで作成した展望を重ねた図を次に掲げる。もっと空気が澄んでいれば、御嶽山や後立山連峰も見えるはずである。