金糞岳(1317m)と白倉岳1270.7m)
2004年8月21日
岐阜県揖斐郡坂内村川上池ノ又より


レリーフの等高線は20m。スケールの単位はm。
久しぶりの近在の山へ出かけることにした。今日も午後から天候が下り坂とのことで、昼前には下りてきたい。といってもまだ真夏であまり暑い山もかなわないと考えたが、前夜は久しぶりの涼しい夜。午前中なら涼しいだろうと、夜叉ヶ池へ出かけた。といってもただ池だけではおもしろくないので、少し先まで足を延ばす。6時50分池ノ又林道終点の駐車場にはすでに車が一台止まっていた。ここから登山道へ入る(写真左)。ところで、かつては登山届提出場所はずっと手前のモトクロスバイク用のランドにしかなかったが、ここに真新しいポストが設置されていた。中には一覧表形式の登山・下山届がファイルされていたので、これに記帳。歩き出すとすぐにツリフネソウが出迎えてくれた。
登山道はこの前に来た時に比べて手が加わっている。最初の急登には丸太階段までところどころに作られていた(7時04分、写真左)。ここを登り切ると、夜叉ヶ池方面への展望が開ける(7時14分、写真右)。ここで下山する年配の男性1人とすれ違う。池には誰もいないという。
展望が開けてきたと同時に暑い日差しが注いできた(7時20分、写真左)。ほぼ等高線に沿った登山道を歩くと、夜叉壁が次第に近づいてくる(7時27分、写真右)。ところで登山道は、崩落しかかった所もきれいに修復されていた。加えて所々では拡張までされていて、2人並んで歩ける所もあったりして少し驚いてしまった。安全に歩けるようになったということは、夜叉ヶ池を訪れる人の増加に対応するということではいいことなのだろう。
登山道横にはヤマホトトギスの花が咲いていた(写真左)。この時期にここへ来ることは滅多にないので、あまりお目にかかったことのない花である。写真右は幽玄の滝(7時59分)。この前は伊吹山へ続いて行ったので慌てたが、今日はのんびりとここで時間を過ごす。
幽玄の滝は登山道を少し登った所から全容を見ることができる。このかつては急な道で、立ち止まることも難しかったが、今回の登山道整備にあわせて数人が立ち止まれるようにフラットな場所が作ってあった。写真右は昇竜の滝(8時15分)。
昇竜の滝を過ぎると、夜叉ヶ池への最後の急登。ここはいつものようにロープが下がっていたが、どうもいつもと違う。どうやら岩盤を節理に合わせて砕いて、階段状の足場を作ったらしい。階段状の足場は、この上にも2か所作られていた。そこは前回の登山時に雨水によって土砂流出が甚だしいとレポートした所だ。これも今回行われた整備によるものだが、ここまで表土が流れてしまったと思うと、複雑な気持ちである。岩場を登ると、ツリフネソウの群落が言う箇所あった(写真右)。
8時33分、夜叉ヶ池への稜線に出た(写真左)。前回のレポートで指摘した、国土地理院地形図上の岐阜県と福井県の県境である。眼下の夜叉ヶ池は静かで、誰もいなかった(写真右)。日差しは暑いが、猛烈な風が南から吹き上げていて、脱いだ服も飛ばされそうになる。じっとしていると寒くなりそうなので、ここで少し休憩して、稜線を西へ登ることにする。
岩稜の稜線を登る。所々鋭いナイフリッジとなっていて、油断すると危ない。ここは慎重に手も使ってよじ登る。急登をひとしきり登ると、夜叉ヶ池とその向こうの一等三角点のある三周ヶ岳を望むことができる(8時57分、写真左)。ところが岩稜が終わったかと思うと、今度はすさまじい藪こぎとなった。ここは両手を使って、平泳ぎを繰り返す。両手を同時に左右に広げて藪をこぐが、背丈ほどもあるチシマザサの藪は強烈で、踏み跡を必死でたどるしかない。ようやく夜叉ヶ池山山頂の、やや刈り払われた部分に出た(9時03分、写真右)。
山頂一帯は強烈な藪。写真左はカメラを上に持ち上げて撮ったもので、やはり時期が悪い。あわよくば三国岳までとも目論んだが、カマもナタも持参しなかったため、今日はここまで。写真右は夜叉ヶ池へやや下った所に設置されたライブカメラ。坂内村が設置したものだが、以前は稜線にコンクリートで設置されていたものの、福井県の山登りの会の皆さんの反対の声で撤去され、今度は県境(地形図上の)を避けて完全に坂内村に入った所に設置されている。今度はご丁寧に、迷彩色で彩色されているので以前ほど違和感はなくなってはいる。坂内村HPから見ることができる。夜叉ヶ池まで下りると、今庄側からも坂内側からも何人かも登山者が訪れていたが、せいぜい数人程度。運動靴で度ザックもなし、手にコンビニ袋を提げて訪れる人もいるなど、ハイキングコースと化していた。今庄からは自然保護パトロールの人が登って来ておられた。いつもながら頭が下がる。池周辺には立ち入り禁止のロープが張られているため、稜線でコーヒーを沸かして飲む。強風は収まっていて寒くはなかったが、熱いコーヒーがおいしかった。もう秋なのだと思った。のんびりと下山して、駐車場に着いたのが11時21分だった。駐車場はまだ半分以上が空いていた。
※またしても三国岳はお預け。三周ヶ岳に比べて訪れる人も少ないようで、藪こぎは強烈。時期を選びたい。山頂は一昨日の雨で地面が柔らかくなっていたが、そこには動物たちの足跡があった。どうやら大形動物らしく、早々に退散した次第である。ところで夜叉ヶ池山とは誰が名付けたのか。三国岳の間にある夜叉姫岳も命名時期と命名者が不明であるが、新しい時期の命名らしいことだけは確かである。