丁子山(1011m)と湧谷山(1079.7m)
2004年5月8日
岐阜県揖斐郡坂内村広瀬遊らんどスキー場より


レリーフの等高線は20m。スケールの単位はm。
大型連休に金糞岳に登った時、山頂から眼前にそびえていた湧谷山。かつては藪こぎ必須の山として、残雪期にのみ登られていた山にも、近年登山道ができたという。その遊らんどスキー場からの登山道を利用して登ることにした。今日の最高気温予想は27度。空気は乾いているとはいえ、登山は涼しいうちに限ると、朝6時半前に家を出る。写真左は坂内村坂本から坂内川越しに望む湧谷山。手前に丁子山がそびえ、湧谷山はその向こうに頭を出している。遊らんどスキー場は夏はグラススキー場として営業中。従って、刈り込まれてよく手入れされている。誰もいないだろうと思ったが、スキー場の大駐車場から谷を隔てた駐車スペースに車が2台止まっていた。6時53分、出発。まだ朝日はゲレンデに差し込んではいない(写真右)。
ゲレンデを直登すると、思いきり強い日差しが照りつけてきた。背中を照らす日干し状態で、ゲレンデ上部に到着。ここから樹間の登山道への道がつながっている(7時04分、写真左)。登山道は所々に丸太階段が作られている(写真右)。しかし丸太階段はほんの一部分。あとは狭い尾根をジグザグに作られた急登の連続。上の地形図を見てわかるように、丁子山山頂までこれが続く。標高差800mのうちほとんどがこの急登で占められている。しかも滑りやすく、下山時が心配になる程だ。
急登のおかげで標高はぐんぐん上がっていく。樹間からは蕎麦粒山が顔を出し始めた(7時27分、写真左)。それにしても急登、ということは下山時は激下りとなる道だ。新緑が目に鮮やか(写真右)。
登山道にはユキザサがたくさん花を付けていた(写真左)。またイカリソウもまだ所々に花を咲かせていた。写真を撮っていると、丁子山からの下山者にすれ違った。考えることは誰しも同じで、早朝に登ってしまえおうということだろう。この後、もう一人も下山してきて、2代の車の持ち主だったわけである。今日はこの2人以外の登山者と出会うことはなかった。8時25分、丁子山山頂に到着(写真右)。山頂から眺望はきかない。気温が上がるにつれてブヨがいっぱい集まり始めた。持参した蚊取り線香に火を付ける。イワウチワの花もまだ少しばかり咲いていた。
小休止後、稜線を歩いて湧谷山山頂へ向かうタムシバの花が咲く稜線の向こうには、蕎麦粒山が顔を出している(写真左)。樹間からは金糞岳も見えるが、藪に覆われていて、また葉が茂り始めたこの時期では眺望は望めない(写真右)。
鞍部から一気に登り返すと、山頂は近い(写真左)。8時43分、山頂到着(写真右)。三等三角点が埋設された山頂は、その周りだけが刈り払われているが、眺望はほとんどない。国土地理院の「点の記」によると点名は「湧谷」、所在地は坂内村大字川上字浅又1273番地となっている。山頂は日差しを遮る木陰がないのにのに加えて、ブヨがひっきりなしにまとわりつくので、早々に退散。鞍部近くの木陰で大休止を決め込むことにする。
山頂から鞍部へ移動前に天狗山と小津権現山を遠望する(写真左)。鞍部近くの木陰は涼しさ格別の別世界だった。金糞岳(写真右)を見ながら腹ごしらえ。さすがに熱いコーヒーという気にはならなかったが、ブヨもいなくて昼寝にも最適。休憩後、9時20分出発。
丁子山山頂に着いたのが、9時33分。小休止後は激下り、また激下りの連続。写真左は登山道に咲いていたフデリンドウ。登山道からは広瀬と坂本の集落も見下ろせた(写真右)。
写真左はユキザサと並んで、登山道にいっぱい咲いていたチゴユリ。今が盛りだ。ゲレンデが近づくに連れ、ゲレンデで流れている音楽が聞こえ始める。ゲレンデ上部に着くと、リフトが稼働していてグラススキーを楽しむ人がいた。転ぶと痛いだろうなと思いながらも、滑って下ると楽だろうななどとスキーヤーを見ながらゲレンデを下った。ハウス到着が10時47分だった。
※遊らんどスキー場から登山道ができていたことは意外だったが、道がついているというだけで、急登には変わりなかった。あまり訪れる人もいないのだろう、登山道は過度な整備は一切行われておらず、途中無駄な伐採がされている所もなかった。それだけに眺望を期待した山歩きには全くの不向きではあるが、人の手があまり加えられていない、奧美濃の山歩きの醍醐味が十分に味わえる山だと思う。1300m級の金糞岳と比較して、湧谷山は標高こそ1000mをわずかに超すに過ぎないが、樹林と藪に覆われた揖斐谷の山の魅力を十分に備えた数少ない山といえるかもしれない。