金華山(330m)
2003年4月27日
岐阜県山県市(旧山県郡美山町)神崎あいの森より

満車のあいの森駐車場 桜峠
9時19分、夏坂谷の林道をのぼり、あいの森に到着。なんと、そこにはこれまでに見たこのとのないような車、また車。なんだか気分もうんざりしてしまうが、せっかく来たのだからと、気を取り直して身支度を始める。それにしてもすごい数である。舟伏山へはここ数年、ゴールデンウィークを利用して毎年のように足を運んでいるが、こんなことは初めて。過去には関西方面からバスを仕立てた団体さんが見られたりしたが、この日はすべてマイカー、である。登山口に登山届けを提出し、歩き始める。こんなに人が多いと、ゆっくり花を見ながら歩くどころではないかもしれない。10時4分桜峠に着く。前後を登山者に挟まれて身動きができないここまでの歩き。人が切れた所を見計らって石仏を撮影(写真右)。
新緑の登山道 登山道からの眺め
桜峠を経てみのわ平への道を進むと、植林地帯を抜けて一面に新緑が広がる。シロモジの木が芽吹いていた。登山道には所々に倒木が立ちふさがり、またいだり、くぐったりしながら進む。この冬の雪のせいだろうか。徐々に視界も広がり、山並みを望む。ただし前後に登山者の列が数珠繋ぎとなっているため、ゆっくり撮影することもままならない。まあ、仕方ないとあきらめるか。
みのわ平 舟伏山三角点
10時42分、みのわ平着。腰をおろして山の空気いっぱいに吸い込む。前後に人が繋がっていると、なんだか都会の雑踏を持ち込んだようで、山のざわめきを感じることもままならない。そんな時は、左記を急ぐのをあきらめて、腰を下ろしてじっと耳を傾けるに限る。みのわ平を過ぎると、山の花も増え始める。これまで見えていたヤマルリソウに加えて、ニリンソウ、ヒトリシズカ、そして山頂が近づくにつれてカタクリの花も見え始める。そして何よりも石灰岩の岩盤にしっかりと根をおろしたイワザクラの花を見ることができた。イワザクラはレッドデータブックで絶滅希少種に指定されているが、舟伏山のそれも心ない人による採取によってその数を極端に減らしている。今度来る時にまた出会うことができるだろうかと、心が痛む。11時43分、山頂に着く。ともかく三角点を撮らなくては。
人また人の山頂の様子 山頂より能郷白山を望む
写真左は山頂の光景。人、また人。ざっと数えて120〜130人。あちこちには無惨にカタクリの花が踏みつぶされている。驚いたことに、木桶を持参し、手巻き寿司パーティー(?)を始めるグループや、焼き肉を始めるグループもあり、少々首を傾げたくなる。別にこれらに意義を唱えるつもりはないが、ただ、山に都会の縮小版を持ち込む必要があるのだろうか、と思ってしまう。私たちは山へ行くのではなくて、山へ入らせてもらうという気持ちを忘れてはいけないのではないか、とも思う。かつて長良川の鵜匠さんに話を聞く機会があったが、長良川へ車で乗り入れて、バーベキューをする若者に心を痛めておられた。「私たちは河原へは足を踏み入れるときは、素足で入るようにしています。」という鵜匠さんの心に、山へ足を運ぶ私たちも学ぶ必要があるように思う。そんなことを考えつつ、横になる。1時間ほど昼寝をすると、ようやく山頂の雑踏も過ぎて、10数名だけとなった。北には雪をいただく能郷白山がそびえる静かな山頂が、そこにはあった。帰路は小舟伏山を回るコースを予定していたが、往路を下ることとする。心配したイワザクラは無事だった。

※山頂で昼寝をして目覚めると、男性ばかり5人のグループがコンビニのビニール袋を手に、山野草を手当たり次第に採取していた。あまりにも堂々としたその様子にびっくり。思わず近寄って、「何をしておられるんですか。」と声をかける。登山道でも採取してきたらしく、手に持ったビニール袋には山野草がかなり入れられている。5人とも60代と思われたが、採るべきではないと話すと、ばつが悪そうに荷物をまとめて下山していった。最後まで、すみませんでしたという言葉を聞くことはできなかった。かつて他の人の山歩きのHPを見ていたときに、舟伏山山頂でグループ登山の一行が山野草を採集しているのを、リーダーが止める様子もなかったと報告していたHPを見て驚いたが、まさしくその再現だった。私たちはどうして山へ足を運ぼうとするのか、考え直す必要があると思うが、いかがだろうか。