清滝山(439m)
2002年11月23日
滋賀県山東町清滝徳源院より

清滝山の遠景 落葉の銀杏の木と清滝山
先週の日曜日に続いて、この日も快晴。朝、家を出るときは気温は0度と冷え込んだもの、日差しは日中の気温が上がることを予感させる。そこで、先週に引き続いて初心者マーク運転練習を兼ねたスーパー低山の第2弾として、滋賀県清滝山へ出かけることとした。清滝山は滋賀県ではあるが、関ヶ原と隣り合った山東町で、大変近い。それに標高の低さを補ってあまりある、山頂からの展望が待っている。ただし、夏は暑くヒルの攻撃も覚悟しなければならないが、今が一番いい季節かもしれない。途中に初心者運転をはさみながら、山東町柏原の旧中山道に入ると、ハイキング姿のたくさんの老若男女の姿。というより、あまり若い人はいないかな。どうやら中山道400年祭の記念イベントと重なったらしい。今日の清滝山は満員か、と少々気持ちは重くなるが、目の前の清滝山と抜けるような青空がそんな重苦しさを吹き飛ばしてくれる(写真左)。いつもと同じように徳源院の駐車場へ車を入れると、何と観光バスが1台。これはえらいことかな、と思っていると、どうやら名古屋の写真クラブが主催する徳源院紅葉撮影会らしい。よかった、よかった。徳源院近くの銀杏の木はもうほとんどの葉を落としていた(写真右)。

徳源院前の紅葉 徳源院と紅葉
徳源院は天台宗比叡山延暦寺派で、正しくは霊通山清瀧寺徳源院という。近江佐々木氏につながる京極家の菩提寺で、名刹である。庫裏や座敷の新築工事が行われていたが、このたび完成し、400年祭に合わせてか、今日・明日の2日間特別公開されていた。たくさんの人が訪れている徳源院は、下山後の楽しみとして、徳源院前のきれいなトイレを借用。すばらしい紅葉を、パチリパチリ。いや、銀塩カメラでないからピッピッか。その美しさは、いつまで見ていても見飽きない。

尾根鞍部より琵琶湖を望む 尾根鞍部より清滝集落を見る
10時15分、徳源院北に隣り合う清滝神社わきの登山道から山へはいる。この山は登りはじめが急登。ぐんぐん高度を稼いでいく。しばらくすると、やるやかな登山道へととかわって尾根へ出る。尾根鞍部から少し登ると、視界が開ける(10時38分)。写真左は尾根より北側の琵琶湖を望む。今日は視程が長く、琵琶湖がきれいに見える。南側は清滝集落を見下ろす(写真右)。遠くに南宮山(中央)、養老山脈(右)も見える。寒かった朝がうそのように、いつの間にか汗までかいている。

山頂への登山道 山頂より伊吹山を見る
10時41分、山頂を目指してゆるやかな登山道を登る。ここからはもう急登はない。山頂にテレビ塔があり、電線がそこまでのびている。小さな花がまだ少し咲いていて、それらを見ながらゆっくりと登る。10時51分、山頂に到着。眼前には北に伊吹山が大きく迫る。この前まで真っ白だった山頂付近も、雪はほとんど消えかかっている。よくみると、パラグライダーがいろとりどりに飛んでいる。以前は山頂一帯の北側は視界はそれほど開けていなかったが、今年になって地元の方々により下草と共に一部の雑木が切り払われ、すばらしい視界が広がっている。以前に一度切り開いたが、その後雑木が育って見にくくなったため、また開いたのだという。伊吹山の左手には雪をかぶった金糞岳(1317m)が見え美濃の方を見やると遠くに真っ白に輝く中央アルプスと、丸く大きな頂の恵那山が見える。山頂は数名の登山者だけだったが、その他に地元の方が2名ラジオをのんびりと聞いておられた。400年祭スタンプラリーの係だという。この後、数名ずつスタンプラリー参加者がここを訪れたが、12時前にはもう誰も登ってこなくなった。昨年のスタンプラリーは17名、今年も20名ほどだと。広々とした山頂で、あまりにも早すぎる昼食をとる。こんな日は低山の特権の昼寝に限る。

峰にあがる狼煙 尾根道の紅葉
11時52分、あちこちの峰から煙が上がる。スタンプラリーの係の方が、狼煙だと教えてくれる。中山道400年祭を記念して、かつての狼煙台と伝承されているところから狼煙をあげるという試み。中山道沿いの峰々を狼煙で情報伝達するというイベントだそうだが、狼煙があがらなかった所もあった。写真左は山東町河内地区が担当したという狼煙。何度も何度も、威勢良く白煙が上がっていた。係の人いわく、ありゃあ一杯やりながら景気ようやっとるぞ、と。いつまでもここにいたい気持ちを振り切って、12時40分下山開始。帰路はテレビ塔から北東にのびるゆるやかな尾根道を下る。帰路もまた紅葉がすばらしい。この尾根道は下山路としていつも使っているが、ここから登ってきた人と出会ったことがない、などと話しながら歩くと、この山では滅多に見かけない若い男女の2人連れが尾根道を登ってきた。これも珍しいことだった。

徳源院横の紅葉 徳源院裏庭
13時20分、北谷へ下山。駐車場でザックをおろしてから、徳源院を見学することとする。写真左は徳源院北の紅葉。秋の日差しが作る陰と紅葉が強いコントラストを描いている。徳源院では新築になった座敷が公開され、これまで裏から入っていた庭が座敷から見ることができるようになっていた。300円で抹茶が振る舞われていた。すでに日は山に入っていまい、庭は日陰になっていたが、それでも美しい紅葉を満喫することができた(写真右)。徳源院の県重文三重の塔と紅葉も美しいが、これを撮ろうとするならば朝に限る。今回は周囲の塀が修築中であったため、ブルーシートなどがそのままとなっていた。紅葉と三重の塔はまた来秋にとっておこう。拝観では貴重な絵図なども公開されていて、18世紀中頃の付近の様子がよくわかった。拝観後、境内でふろふき大根を食べたが、実においしかった。付近の方々総出で大変そうだったが、いい時に訪れることができたと思える今日の山行きだった。

*徳源院は京極家の墓所であり、歴代の宝篋印塔が並んでいる。鎌倉時代から江戸時代に至る30余の宝篋印塔を見ることができ、宝篋印塔の変遷を見ることができる。清滝山を訪れるならば徳源院の見学は必見。ただし、普段は無住であるため見学は制限されるかもしれない。





 清滝山山頂からの展望。今年のお盆前に地元の方々によって北西側の一部が切り開かれた。そのため、これまで望むことのできなかった、湖北の山々を望むことができるようになった。標高は低いものの、眼前に迫る伊吹山の迫力といい、その展望といい、満足度100パーセントの山である。ただし、登る季節を選ぶ。夏は恐ろしく暑いことを覚悟せねばならぬ